高配当投資戦略で、注目しておきたい株主資本配当率 (DOE: Dividend on Equity Ratio)の特徴とメリット・デメリットです。
※投資は自己責任でお願いいたします。
目次
株主資本配当率 (DOE: Dividend on Equity Ratio) とは
企業が株主資本(自己資本)に対してどの程度の配当を支払っているかを示す指標です。
計算式:
株主資本配当率(DOE) = 配当金総額 ÷ 株主資本 × 100(%)
この指標は、企業が株主資本をどれだけ効率的に活用して配当を還元しているかを見るために使われます。
DOEが注目される理由:
安定した株主還元を示す指標:
従来の「配当性向」(純利益に対する配当の割合)は、企業の利益が大きく変動すると配当額も大きく変動してしまう可能性があります。赤字の年には配当が出せない(無配)こともあり得ます。
一方、DOEは株主資本を基準にするため、一時的な業績の変動に左右されにくく、より安定的な配当政策を示す指標として近年注目されています。企業が「DOE〇%以上を目標とする」と表明することで、株主に対して継続的な株主還元への姿勢を示すことができます。
株主還元へのコミットメント:
ROE(自己資本利益率)と配当性向の両方を考慮に入れた指標であるため、企業の収益性と株主還元への積極性を同時に評価できます。
投資家、特に「物言う株主」と呼ばれるアクティビストなどからは、資本効率と株主還元を両立させる指標として重視される傾向にあります。
デメリット
- 利益変動の影響:
- DOEは配当金総額に基づくため、企業の利益が大きく変動すると、それに合わせてDOEも変動する可能性があります。一時的な高DOEは、持続可能でない場合もあります。
- 株主資本の構成:
- 株主資本の額は、企業の設立からの累積利益や増資・減資によって変動します。負債が多い企業や、積極的な自社株買いを行って株主資本を減らしている企業では、DOEが高く見えやすいことがあります。
- 業界特性によっても、必要な株主資本の規模は異なるため、単純な比較は難しい場合があります。
- 業績悪化時の解釈:
- 企業が赤字でも、過去の利益の積み増し(利益剰余金)から配当を出すことは可能です。この場合、DOEは高く見えるかもしれませんが、持続可能性には疑問符がつきます。
- 情報不足:
- DOE単体では、なぜその水準なのか、今後も維持できるのかといった背景までは読み取れません。配当政策、事業戦略、財務状況など、他の多くの指標と合わせて総合的に判断する必要があります。
DOEが高い企業とは:
DOEが高い企業は、一般的に「高収益でありながら、株主への配当にも積極的である」と評価されます。これは、投資家にとって魅力的な要素となります。
株主還元を重視して、増配している企業の例
まとめ
「配当のDOE」と聞かれた場合、それは一般的に「株主資本配当率 (Dividend on Equity Ratio)」のことを指し、企業の株主還元方針や安定性を評価するための重要な財務指標の一つです。
DOE単体では、なぜその水準なのか、今後も維持できるのかといった背景までは読み取れません。配当政策、事業戦略、財務状況など、他の多くの指標と合わせて総合的に判断する必要があります。
※投資は自己責任でお願いいたします。
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