アメリカで、20-30代のミレニアル世代のムーブメントとなっている「FIRE」が日本でも話題になってきました。
今回、とくにエンジニアなど専門職の人たちの間で支持されている理由について考えてみました。
あらためてFIREとは?
【FIRE】
– Financial Independence, Retire Early:経済的に独立し、早期リタイア –
シンプルな生活で支出を抑え、その分を投資に回し、
20代、30代という若さでリタイアを実現するのが特徴的なところです。
FIREの特徴
- 贅沢より自由の価値観
- 4%ルール(年間支出の25倍の資産形成)
- FIREのタイプ (Lean / Barista / Fat)
- エンジニアに支持者が多い傾向
1. 贅沢より自由の価値観
ミニマリズムにも近い思想ですが、
贅沢よりシンプルな暮らしで、会社や物欲に縛られず、家族や自分のための自由な時間やスタイルを大事にしたい。
という価値観が根底にあります。
2. 4%ルール(年間支出の25倍の資産形成)
FIREの実現ロジックに4%ルールというものがあります。
「投資リターン4%で、年間の支出がカバーできれば働かなくていい。」とういう数式です。
例)
年間支出:240万(月20万 × 12ヶ月)だとすると
資産6,000万 × 年利4% = 年間支出240万
あれば、理論上は働かずに資産運用だけで生活可能 = FIRE達成という考え方です。
3. FIREのタイプ (Lean / Barista / Fat)
その人が満足できる生活レベルやスタイルによって、資産目標や達成時間が変わるというのも特徴です。資産運用にネット収入や、週3ぐらいでちょっと働くのを組み合わせるのもありです。
Lean FIRE
✔️徹底した倹約生活で資産でリタイア。コスパのいい地域など。
イメージ)年間支出150万円 × 25 = 資産目標:3,000-5,000万円
Barista FIRE
✔️資産運用+ゆるく週2-3日働くなど労働収入を組み合わせる。
米国ではバカ高い医療保険狙いでスタバで働くことが語源。
イメージ)年間支出240万円 × 25 = 資産目標:5,000-8,000万円
Fat FIRE
✔️裕福なリタイア。株や起業で成功など。
イメージ)年間支出400万円以上 × 25 = 資産目標:1億円以上
自分が幸せと感じる、満足する生活レベルを試して、具体的な金額を定量化することでゴールの目指し方を選べます。
4. エンジニアに支持者が多い傾向
米国やカナダで実践している人たちの職業は、エンジニアなど高給でITリテラシーの高い人たちが多い傾向にあります。
もっとも近年では、多様な職業の人たちにもFIREが広まりつつあります。
FIRE(経済的に独立して早期リタイア)が、エンジニアに向いている理由を考える
職業がエンジニアというだけでだけで、すべての人が同じ価値観なわけがないのですが、個人的に、FIREに「有利」だと思う2点との関係はあるのではないか?と思います。
- 米国のエンジニアは高給かつプレッシャーも多い
- FIREの過程を楽しめる資質
1. 米国のエンジニアは高給かつプレッシャーも多い
FIRE実現の時間軸は、その人が幸せを感じる生活レベルの金銭目標と、4%ルールの回転率で決まります。
「収入 – 支出 → 資産 × 投資リターン(4%複利)」のループ
1.収入を上げる
2.支出を下げる
3.投資に回す(複利)
単純に収入が高い方が、倹約生活で支出を下げた時の利益幅が高いためです。
同じ生活レベルなら
「収入(本業+副業) – 支出(自分が満足できる生活)」の「利幅」
が達成時間を短縮してくれるので
早期達成に「有利」というだけですね。
ただし収入が上がると、生活レベルも上げたくなるのが人間の心理のため、この利益幅をつくるのが難しいです。
得たいゴールと、向かう時間も人それぞれです。
実践例や価値観は、参考や研究にはなりますが、他人と比較する必要はありません。自分の人生ですから。
米国のエンジニアやエリートと言われる職種の人たちは給料もいいですが、その分ハードワークや競争社会で、地位争いや虚栄の世界に疲れ、 自分が本当にやりたいことや、家族との時間を大事にしたいと思うことも多いのでしょう。
2. FIREの”過程”を楽しめる資質
個人的には、こういった資質・性格があると、FIREとの相性がいいのではないか?と思います。
【動機】 会社や組織に縛られたくない原動力
【支出】 倹約をゲーム感覚で楽しめる
【収入】 ネットでの発信や副業を楽しめる
【投資】 金融リテラシーを身につけ、年利4%のポートフォリオを組める
「会社や組織に縛られずに自由に生きたい!」というモチベーションとゴールイメージがあり
倹約生活を「ここも下げられた!」とレコーディングしたり、少しずつ生活コスト下げるのが楽しくなってきたり
ネットから情報などを集め、年利4%のポートフォリオを研究して暴落やインフレについてシミュレーションしたり
過程をブログやSNSで発信するか、自分なりにログ化して試行錯誤して
FIREの過程を「Hack」して楽しめる人。
もちろん、すべてのエンジニアの方々が同じ価値観ではないですが
コードを書く際の合理性・効率性やネットリテラシーを駆使できる能力はシンプルに「有利」だと思います。
投資が趣味の人や、筋トレ好きな人とも相性いいと思います。
その人の経験や性格の活かし方で、こういった「有利」はたくさん見つかると思います。
まとめ
「FIRE(経済的に独立して早期リタイア)が、エンジニアに向いている理由」について考えてみました。
エンジニア職というより、「Hack」を楽しめる人が「有利」な考え方なのだろうなと思います。
【動機】 会社や組織に縛られたくない原動力
【支出】 倹約をゲーム感覚で楽しめる
【収入】 ネットでの発信や副業を楽しめる
【投資】 金融リテラシーを身につけ、年利4%のポートフォリオを組める
自分の満足できる生活レベルを測定し、4%ルールからゴールの資産目標を設定し、進捗を可視化し、 達成に向けて試行錯誤してライフハックし、ネット情報を駆使して、投資ポートフォリオを組み立てていく。
自分でやり方をカスタマイズして、自分でコントロールできる未来を目指すところに、FIREの魅力があるのだと思います。
投資市場の年間利回り4%はリスクという意見もありますが
自分で暴落やインフレのリスクのシミュレートしながら金融リテラシーが上がり、資産が増えていくのを実感するのも楽しさのひとつ。
ITスキルがあれば、またクラウドワークなどで稼ぐこともできるという「有利」もあると思います。
達成後には
「働かなくていい自由な時間」の先に
「本当に価値あるものに時間を使う」があるのだと思います。
物資的な豊かさが飽和し、社会不安が多い現代
FIREは、目指したい個人の未来への具体的なプロセスと
夢を与えてくれる「Hack」なのかもしれません。
自分の資質や価値観を活かし、過程や達成後に何を感じるか、試していきたいと思います。
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