必ずしも安心と言い切れない将来に向けて資産運用を考える時、よく「運用の成果の8割以上は資産配分で決まる」と言われます。
特に中長期でリスクバランスをとった資産運用で「分散投資」「ポートフォリオ」を考える時に、「もしリーマンショックの時みたいなことが起きた場合どうなるの…?」など、過去データにさかのぼって投資成果(損益)がどうなるかシミューレションする「バックテスト」という方法があります。
※投資は、自己責任でお願いいたします。
資産配分【アセットアロケーション: Asset Allocation】とは?
投資資産の配分比率のこと。
具体的には
・日本株
・外国株(先進国/新興国)
・日本債券
・外国債券(先進国/新興国)
・不動産(日本/外国)
のように、どの資産クラスに、どのようなバランス(比率)で投資するか?バランスによって、投資成果の8~9割が決まるといわれています。
1986年にブリンソン、フッド、ビーバウワー(Gary P. Brinson, L. Randolph Hood, and Gilbert L. Beebower)がFinancial Analysts Journalで発表した論文「Determinants Of Portfolio Performance」(ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因)
このポートフォリオの資産配分をテストする方法がいくつかあり、今回は「バックテスト」という方法をご紹介いたします。
目次
そもそもバックテストとは?
【Backtesting】
Investopeida引用: https://www.investopedia.com/terms/b/backtesting.asp
バックテストとは、戦略またはモデルが、過去にさかのぼってどのぐらい成功するかを確認する方法。過去データからシミュレーションし、トレード戦略の実行可能性を評価する。
投資信託やインデックス投資家など、ある程度中長期的な投資を考えると、ある程度の期間の過去データからのシミュレーションも大事になってくるという話ですね。
便利なバックテストツール「Portfolio Visualizer」
以前は各サイトからデータをダウンロードして、エクセルで集計してシミュレーションしていたのですが、複数の銘柄や資産クラスを組み込むのが意外と大変でした。
米国を中心とした投資を行う場合にですが、便利な無料ツールがあります。
Portfolio VisualizerPortfolio Visualizerは、ポートフォリオと投資分析のためのオンラインツールで、ポートフォリオと投資製品を比較・分析をサポートしてくれます。
対応機能
- ポートフォリオのモデリングとバックテスト
- モンテカルロシミュレーション
- ポートフォリオの最適化
- 因子モデル
- 戦術的な資産配分
無料で使用することができます。より高度な機能を使いたい方には有料プランもあります。
ポートフォリオを検証してみる
PortfolioVisualizer から “Asset Class Allocation” を開くと、下記のような入力画面が出てきます。

デフォルトの設定でも、アセットと配分比率を入力すればバックテスト自体はできますが、
より自分好みの分析をするには、各項目のパラメーターも入力していく必要があります。
英語で説明されていますが、それぞれの項目の意味がわかればさほど難しくありません。
設定項目
Portfolio view | アセット選択方法 ・ ListView カテゴリから選択・ TableView 一覧から選択※ページ下部の”Asset Class”の表示項目です。 |
Time Period | 過去のパフォーマンスの表示形式 ・ Year on Year : 前年比・ Month on Month :先月比 |
Start Year | 検証の開始年 |
End Year | 検証の終了年 |
Initial Amount | 初期投資額(USドル) |
Cashflows | デフォルト: ・ None : 初期投資後の追加投資、取り崩しなし選択可能: ・ Contribute fixed Amount : 定額追加投資・ Withdraw Fixed Amount : 定額取り崩し・ Withdraw Fixed Percentage : %取り崩しインフレや取り崩しの周期も選べます。 |
Rebalancing | 資産の再配分(リバランス) デフォルト: ・ No Rebalancing : 再配分しないその他選択: ・再配分のタイミング ※相場が変動で当初決定した資産配分が変わった時、 定期的に資産配分比率を当初計画に合わせて修正。 |
Benchmark | ベンチマーク 他の投資アセットとのパフォーマンス比較。 デフォルト: ・ None : 指定しないその他選択: ・他アセットとパフォーマンス比較することができます。 |
Portfolio Name | デフォルト: ・ None : 指定しないその他選択: ・ポートフォリオに それぞれ名前をつけることができます。 |
資産配分 – Asset Allocaiton
今度はページの下の方に"Asset Allocation"
という項目があります。

今回は試しに、下記のようなポートフォリオで検証してみることにしまます。
米国株(US Stock Market): 20%
米ドル10年国債(10-year Treasury): 40%
米REIT(REIT): 20%
金(Gold): 20%
"Asset Class"
から、組み込みたい資産クラス名を選択"Portfolio #1"
に、配分比率(%)を指定
全部で100%
になるようにします。
入力し終わったら “Analyze Portfolios
” ボタンを押して検証開始です。
資産ポートフォリオのバックテスト結果
設定した条件で、ポートフォリオのバックテスト結果が表示されます。
配分比率 – Portfolio Allocations
設定したポートフォリオのアセットの配分比率と円グラフが表示されます。

今回のケースだと「REIT(米国REIT)が始まった1994年を検証開始年にしてるよ」と青いボックスで通知されています。
リターン – Portfolio Returns
指定したポートフォリオのバックテスト結果の一覧です。
Portfolio | ポートフォリオの名前 |
Initial Balance | 初期投資額 |
Final Balance | 終了年の資産額 |
GAGR | 年平均成長率 “Compound Annual Growth Rate”の略 複利計算によって求めた成長率 |
Stdev | 標準偏差 年間の変動% |
Best Year | 最高年のパフォーマンス(年率) |
Worst Year | 最低年のパフォーマンス(年率) |
Max.Drawdown | 最高値からの最大下落率 |
Sharp Ratio | 投資効率性 リスクに対してのリターン率 大きほど、投資効率性が高い。 |
Sortino Ratio | 投資効率性投(損失のみ) 下落時リスク対してのリターン率 大きほど、投資効率性が高い。 |
US Mkt Correlation | 株式市場との相関係数(0 – 1) 1に近いほど株に近い動き。 |
資産額推移 – Portfolio Growth
ポートフォリオの資産額の成長推移が、指定期間での年次グラフで表示されます。

チェックボックスを押すと、表示を切り替えることができます。
Logarithmic scale | 対数スケール ある量について、広い範囲の正の値について表す。 |
Inflation adjusted | 設定したインフレ率を織り込む |
年リターン率 – Annual Returns
ポートフォリオの年次のリターン率(%)です。

「2007年のリーマンショック時には、どのぐらい下落したのだろう?」などと、年別のリターン率をシミュレーションすることができます。
まとめ

Portfolio Visualizer を使うと、自分のポートフォリオを過去からのパーフォーマンスの年次推移をシュミレーションすることができました。
便利なバックテストツールを使うことによって、ポートフォリオを検証しながら、自分に合った資産運用を作り上げていくことができます。
自分の大事な将来設計と資産なので、自分に合う投資スタイルとポートフォリオを色々と探っていきたいですね。
※ 投資は、自己責任でお願いいたします。
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