IR(投資家向け情報)で決算書などを見る時に出てくる「IFRS」と「日本会計基準」の違いをまとめてみました。
目次
IFRS【いふぁーす】とは?
IFRS(International Financial Reporting Standards)
国際財務報告基準。
会計基準が世界で1つなら、国が違っても取引相手の経営実態を正確に把握することができます。
ロンドンを拠点とする民間団体である国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board、IASB)が設定する会計基準。
JGAAP【日本会計基準】とは?
日本独自に形成された会計基準。
1949年に公表された「企業会計原則」をベース、2001年からは社会変化に応じた企業会計基準委員会が設定した会計基準を含んだものが採用。日本企業に馴染みのある会計基準。
IFRSと日本会計基準の違い
IFRS | 日本会計基準 |
原則主義(プリンシパルベース) ・原則のみ示し、詳細な規則は設定しない。 ・企業ごとに原則を解釈しルール化 | 細則主義(ルールベース) ・ルールベースで詳細に規則化 ・運用指針などにより数値基準を設定 |
B/S重視 ・企業価値(将来キャッシュフロー) ・公正価値(時価)主義が強い | P/L重視 ・純利益: 一定期間の企業の活動成果 投資リスクから解放された時点で収益認識 |
グローバル基準 ・英語のみ ・グローバルの市場関係者・規制当局と討議 ・税務の配慮なし ・グローバル標準 | ローカル基準(日本) ・日本語・日本の市場関係者・規制当局と協議 ・税務との関係性配慮 ・日本のローカルルール |
1. 原則主義 と 細則主義
IFRSは原則主義
詳細な規定や数値基準がほとんど示されていない会計主義なので自由度が高い。
そのため解釈の根拠を外部に明確に示す必要性があり大量の注記が必要。
日本会計基準は細則主義
会計基準や解釈指針、実務指針など、細かく規定が定められています。
2. B/S重視 と P/L重視
IFRSはB/S重視(資産/負債アプローチ:公正価値評価)
投資家や債権者が必要としている資産価値を評価する情報として、将来キャッシュフローの現在価値を重視。
日本会計基準は「PL重視」(収益/費用アプローチ)
期間損益を重視する損益計算書重視。
「収益 – 費用 = 利益」を重視
その計上された純利益の結果、純資産が増加するという考え方。
IFRSでは
固定資産の減損・再評価、売却可能な金融資産などを時価評価し、「将来的にキャッシュフローを生み出せる資産状況にあるかどうか?」を投資家に正しく伝えるという考え方。
3. グローバル基準 と ローカル基準
IFRSはグローバル基準
各国の独自性、税務上問題なども配慮せず、議論や定義も英語で行い、グローバル標準。
日本会計基準はローカル基準
日本語・日本の市場関係者・規制当局と協議で税務に配慮する。日本独自。