暴落時にも強い、オール・シーズンズ戦略のポートフォリオを海外ETF・債券で検証する【レイ・ダリオ氏】

株価暴落

株価暴落時を含む4つの局面に対応した、世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツを立ち上げた、レイ・ダリオ氏提唱の「オール・シーズン戦略とは?」についてと

実際に海外ETFを使ってポートフォリオの過去パフォーマンスを比較検証してみました。

※投資は自己責任でお願いいたします。

オール・シーズンズ戦略とは?全天候型オール・ウェザー戦略との違い。

「米国ファンド界の帝王」と呼ばれる、レイ・ダリオ氏の「全天候型(オール・ウェザー)戦略」の個人投資家版

ヘッジファンドのようにレバレッジを使わず、あらゆる経済状況で安定したリターンを上げるために設計された「オール・シーズンズ戦略」

かんたんにいうと「不況にも、好況にも強い、安定した個人投資家向けポートフォリオ」ということです。

ブリッジウォーター・アソシエイツは、現在は新規資金を受け入れておらず

これまでも超富裕層向けの大口資金「投資可能資産50億ドル、または、最適初期投資額が1億ドル」しか受け入れてなかったので、

下記の書籍「世界のエリート投資家は何を考えているのか、何を見て動くのか」ではじめて公開された

今回の一般個人向けに設計されたポートフォリオは話題を呼んでいます。

経済には、4つの局面がある

レイダリオ氏は、春・夏・秋・冬の季節のように、経済には4つの局面(シーズン)があると述べています。

1.経済成長期経済成長:想定より高い
対応商品:株式・社債・商品取引・金
2.経済停滞期経済成長:想定より低い
対応商品:長期米国債・TIPS(米国物価連動国債)
3.インフレ期インフレ率:想定より高い
対応商品:商品取引・金・TIPS(米国物価動国債)
4.デフレ期インフレ率:想定より低い
対応商品:長期米国債・株式

レイ・ダリオ氏は

  • 「この4つの局面で常に上昇し続ける資産はない」
  • 「次にどのシーズンが来るか?も予測できない」

と語っています。

そこで、すべての経済局面(シーズン)に対応するポートフォリオを「全天候型:オールウェザー・ポートフォリオ」と呼んでいます。

今回、個人投資家向けに

  • 個人投資家は、株式のリスク許容度が低い
  • 株式は、債券の3倍リスクがある。

例えば、株と債権を「50:50比率」で購入しても、株影響の方が大きくなることを挙げ、

ヘッジファンドのようにレバレッジリスクを取らずとも、経済の4つの局面に対応可能なポートフォリオ「オール・シーズンズ戦略を公開しています。

黄金のポートフォリオ「オール・シーズン戦略」の中身

実際の黄金のポートフォリオ「オール・シーズン戦略」の中身である構成比率をグラフにしてみました。

米国株30.00%
米国債(7-10年)15.00%
米国債(20年以上)40.00%
金(GOLD)7.50%
商品(コモディティ)7.50%

オールシーズンズ戦略は、あらゆる経済局面(4つのシーズン)に対応する戦略ですので

商品対応シーズン構成比
米国株①経済成長期
④デフレ期
30.00%
米国債
(7-10年)
②経済低迷期
③デフレ期
15.00%
米国債
(20年以上)
②経済低迷期
③デフレ期
40.00%

(GOLD)
①経済成長期
③インフレ期
7.50%
商品
(コモディティ)
①経済成長期
③デフレ期
7.50%

それぞれの局面に対応する商品

「株」「債券」「金」「商品」に分散投資しており

  • 個人投資家は、株式のリスク許容度が低い
  • 株式は、債券の3倍リスクがある。

それぞれの商品リスクと、個人投資家の許容度に応じて

株が”30%”と低く、債券が”55%”と高め、金やコモディティも組み入れている構成比率が特徴的です。

「オール・シーズンズ戦略」ポートフォリオを海外ETFで作ってみる。

実際に海外ETFを使って、このオール・シーズンズ戦略に沿ったポートフォリオを作ってみました。

ティッカーETF構成比
VTIVanguard Total Stock Market ETF
米国株式、大型・中型・小型のほぼ全体。
30.00%
IEFiShares 7-10 Year Treasury Bond ETF
iシェアーズ 米国国債 7-10年
15.00%
TLTiShares 20+ Year Treasury Bond ETF
iシェアーズ 米国国債 20年以上
40.00%
GLDSPDR Gold Shares
金の国際価格を連動対象
7.50%
GSGiShares S&P GSCI Commodity-Indexed Trust
コモディティ商品指数を連動
7.50%

もちろん、これはひとつの例なので

例えば、株セクターを世界株式分散ならVT、S&P500ならVOO、債券を社債含めたAGGにするなど、ご自身の投資戦略に合わせた金融商品・ETF等を選択しシミュレーションすることをおすすめます。

「オール・シーズンズ戦略」ポートフォリオのパフォーマンステスト

先ほどの海外ETFを使って作った「オール・シーズンズ戦略」のポートフォリオの過去パフォーマンステストをしてみました。

ベンチマークとして、米国S&P500連動を目指すETF、SPYと比較しています。

最悪年の下落率:2007年のリーマンショック時

オール・シーズンズ戦略年間下落率: -3.74%
SPY
(S&P500連動)
年間下落率: -32.21%

最大でも、-3.74%の下落率です。下落局面に強く、安定していますね。

2020年のコロナショック時にも、さほど影響を受けていないのがわかります。

最高年の上昇率:

オール・シーズンズ戦略年間下落率: 18.56%
SPY
(S&P500連動)
年間下落率: 32.31%

18.56%と悪くない上昇率です。しかしS&P500の方はもっと高い上昇率です。

「オール・シーズンズ戦略」のトータルリターン

次に「オール・シーズンズ戦略」と「SPY(S&P500連動)」の、年別のリターンと、トータルリターンを比較していきます。

トータルリターン

全体のトータルリータンでみると、ここ10年の米国株式市場の強気相場もあり、S&P500の方が成長率は高くなっています。

オール・シーズンズ戦略の価格チャート

今回、海外ETFで作ってみた、オール・シーズンズ戦略「黄金のポートフォリオ」の直近の価格チャートです。

基準価格と利回りの割安/割高、追加購入の材料などに。

レイ・ダリオ氏の投資哲学・経歴

オール。シーズンズ戦略を提唱した、レイ・ダリオ氏の経歴や投資哲学、おすすめ本などはこちらの記事もあわせてお読みください。

まとめ

nomadworker

レイ・ダリオ氏のオール・ウェザー戦略とは?暴落時にも強いオールシーズンズ・ポートフォリオを海外ETFで検証してみました。

オール・シーンズ戦略のメリット・デメリット

メリット

  • あらゆる経済局面に対応した分散投資で、株価下落局面でも資産がほとんど減らない
  • 安定的な成長リータンが見込める。

デメリット

  • 株式100%ポートフォリオと比較すると、リータンは高くない
  • 債券比重高く、ゼロ金利だとマイナスになる可能性がある。

オール・シーズンズ戦略は、今後の株価下落局面でも、資産を守ることができ、心理的にも安心できるポートフォリオではないかと思います。

積極的にリータンを取りにいく投資戦略フェーズの方には物足りないかと思いますが、

なるべくリスクを減らしたいリタイア後に向けたポートフォリオや、下落に心を乱されたくない方には魅力的な投資方法の一つではないでしょうか?

懸念点・個人的見解として

現在「株式」「債券」「金」すべての商品が、値上がり状況、低金利にあるということです。

本来、非対称な値動きをすることで、分散投資・補完関係にあったポートフォリオなので、今は積極的に買い入れすることはなく、少し現金化率をあげたりして、コツコツ少額で積み立てていく方針です。

※投資は自己責任でお願いいたします。

もっとオール・シーズンズ戦略や他の投資方法を知りたい方は、こちらの情報元となった書籍をお読みください。


「本書はあなたに経済的自由を手に入れるための気づきを与えてくれるはずだ」

――レイ・ダリオ(ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者)

投資に勝つための原則、投資にまつわる「神話」のウソ、
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2017年ノーベル経済学賞受賞のリチャード・セイラー教授が
シェロモ・ベナルチUCLA教授と共同考案した「強力な貯蓄法」も紹介。

世界最大規模のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの
レイ・ダリオが個人投資家向けに初公開した「黄金のポートフォリオ」を収録。

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